SDGsの取り組み 製麺業のフシ麺や切れ端「松葉」

SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲット12.3では、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させることが掲げられています。
多くの企業がこの目標達成に貢献するため、様々な取り組みを行っています。

食品ロス・廃棄食材ゼロを目指す企業の取り組み例をいくつかご紹介します。

1. 食品の製造・加工段階での取り組み

  • 需給予測の精度向上: AIやIoTを活用して需要を予測し、過剰な生産を抑制する。(大手ファストフード店)
  • 規格外品の有効活用:
    • 規格外の野菜や果物を加工して新たな商品として販売する。(コンビニエンスストアの規格外野菜を使った惣菜)
    • 微細な欠けなど品質に問題のない商品をアウトレット価格で販売する。(お菓子メーカーの「ふぞろい品」販売)
    • 規格外の魚介類を未利用魚として活用した商品を開発する。(ホテル)
  • 製造工程の見直し: 製造工程で発生する端材を別の用途に活用する。(マヨネーズメーカーの卵白や卵殻の活用、外食チェーンの玉ねぎの芯を粉末化)
  • 賞味期限・消費期限の延長:
    • 保存技術や容器包装を改良し、賞味期限を延長する。(生中華麺の賞味期限延長、醤油の密封ボトル)
    • 消費期限が近づいた商品を割引販売する。(コンビニエンスストアの「てまえどり」推進、ポイント付与)
    • 賞味期限の年月表示への変更。(食品商社)
  • 個包装化による使い切りサイズの提供: 消費者が使い切れる 商品を提供し、余剰を減らす。(使い切りの鍋の出汁)

2. 流通・小売段階での取り組み

  • フードバンクとの連携: 賞味期限が近いなどの理由で販売できなくなった食品をフードバンクに寄付する。(大手コンビニエンスストア)
  • フードドライブの実施: 消費者から余った食品を回収し、必要とする人に届ける。(小売店のフードドライブ)
  • 「てまえどり」の推奨: 消費者に、棚の手前にある賞味期限の近い商品から購入してもらうように促す。(スーパーマーケット)
  • 食品ロス削減アプリの導入: アプリを通じて、期限切れ間近の商品を割引販売するなど、消費者と連携して食品ロスを削減する。

3. 消費者との連携

  • レシピ提案や情報提供: 食品を無駄なく使い切るためのレシピや保存方法などの情報を提供する。(各食品メーカー、小売業者)
  • 食べ残し持ち帰りの推奨: 飲食店で食べきれなかった料理を持ち帰ることを推奨する。(環境省の「mottECO(モッテコ)」推進)
  • 食育活動: 食品ロス問題に関する消費者の意識を高めるための啓発活動を行う。

4. 廃棄物の再資源化

  • 食品リサイクルループの構築: 食品廃棄物を堆肥や飼料、バイオガスなどに再資源化する。(大手商業施設)
  • 未利用資源の活用: これまで廃棄されていた食材から新たな価値を生み出す。

    これらの取り組みは、単に食品ロスを削減するだけでなく、コスト削減、環境負荷の低減、新たなビジネスチャンスの創出など、企業にとってもメリットをもたらします。今後も、より効果的な食品ロス削減の取り組みが広がっていくことが期待されます。

SDGs(持続可能な開発目標)と食品ロス削減の観点から見ると、麺の切れ端である「フシ麺」は非常に興味深い存在です。本来であれば廃棄されてしまう可能性のある食材を、無駄なく活用する取り組みは、まさにSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に貢献するものです。

フシ麺とは

フシ麺とは、主に手延べ麺(そうめん、うどんなど)を製造する際に、乾燥させるために棒にかけた部分や、切断する際に出る切れ端のことです。通常の麺に比べて太く、短く、曲がっているなどの特徴があり、食感はもっちりとしていて、コシが強いと言われています。地域によっては、昔から家庭料理や郷土料理として親しまれてきました。

SDGsとフシ麺活用の意義

  • 食品ロス削減: 麺の製造過程でどうしても出てしまう切れ端を廃棄せずに活用することは、食品ロスを減らす直接的な取り組みとなります。
  • 資源の有効活用: 本来捨てられるはずだったものを新たな食品として活用することで、小麦粉などの貴重な資源を無駄にしません。
  • 地域食文化の継承: フシ麺は、地域によっては伝統的な食材であり、その活用は地域食文化の継承にも繋がります。

企業の取り組み例

いくつかの企業や地域では、このフシ麺の価値に着目し、様々な取り組みを行っています。

  • 商品としての販売:
    • 多くの麺の生産地では、ふし麺を通常の麺とは異なる商品として販売し、パスタや汁物の具材として提案しています。
  • 飼料や肥料への利用:
    • 製麺過程で大量に出る麺の切れ端を、畜産飼料や肥料としてリサイクルする。(うどん県での取り組み)

フシ麺を家庭で活用する方法

フシ麺は、家庭でも手軽に美味しく活用できます。

  • 汁物の具材として: うどんや味噌汁、お吸い物に入れると、もっちりとした食感が楽しめます。
  • パスタの代わりに: 茹でてパスタソースと和えれば、 ভিন্ন食感が楽しめます。
  • サラダのトッピングに: 茹でて冷やし、サラダに加えるとボリュームと食感がアップします。
  • すき焼きや鍋物の具材に: 煮込んでも煮崩れしにくく、美味しくいただけます。

このように、麺の切れ端であるフシ麺は、食品ロス削減に貢献するだけでなく、独特の食感と風味を持つ食材としても魅力があります。企業や消費者がその価値を再認識し、積極的に活用していくことで、SDGsの達成にも繋がるでしょう。これらの取り組みは、単に食品ロスを削減するだけでなく、コスト削減、環境負荷の低減、新たなビジネスチャンスの創出など、企業にとってもメリットをもたらします。今後も、より効果的な食品ロス削減の取り組みが広がっていくことが期待されます。