
つるりとした喉越しと、もちもちとした食感が魅力の富山県を代表する味覚、大門素麺。
今回のコラムでは、その大門素麺のすごさを生かした調理法をご紹介します。
信じていただけないかもしれませんが、大門素麺は、茹でて一晩冷蔵庫においてから食べても、伸びておらず強いコシを感じます。
180年の伝統技法が成す技で作られているからです。
定番の食べ方はもちろん、余ったそうめんをおいしく食べ切るちょっと意外なアレンジ、そして大門素麺独特の形状「丸まげ麺」に隠された知恵までご紹介いたします。
まずは定番!シンプルに味わう大門素麺
まずは、大門素麺本来の美味しさをシンプルに味わう定番の食べ方からご紹介しましょう。

- 冷やし素麺:
最もポピュラーな食べ方と言えるでしょう。たっぷりの熱湯で茹でた大門素麺を冷水でしっかりと洗い、キュッと締めます。
お好みの薬味(ネギ、ミョウガ、ショウガ、大葉など)と、冷たいめんつゆでいただくのが基本です。
つるつるとした喉越しと、小麦の豊かな風味が口いっぱいに広がり、暑い夏にぴったりの爽やかな一品です。
【ポイント】 茹でる際には、吹きこぼれないように火加減を調整し、茹で上がったら手早く冷水で洗い、ぬめりをしっかり取ることで、より美味しくいただけます。 - 温かいにゅうめん:
寒い季節や、少し肌寒い日には、温かいにゅうめんもおすすめです。茹でた大門素麺を、温かいだし汁に入れ、お好みの具材(かまぼこ、油揚げ、椎茸、鶏肉、卵など)を加えていただきます。
温かいだしの中で、大門素麺のもちもちとした食感が際立ち、心も体も温まります。
【ポイント】 温かいだしで煮込む時間は短めにすると、麺のコシが失われにくいです。
ちょっとアレンジ!変わり種の大門素麺
いつもの食べ方に飽きてしまった、という方におすすめの、少しアレンジを加えた大門素麺の食べ方をご紹介します。 - ごま油香るピリ辛和え麺:
茹でて冷水で締めた大門素麺に、ごま油、醤油、ラー油、酢を混ぜ合わせたタレを絡めます。
お好みで、刻んだネギやキュウリ、鶏ひき肉のそぼろなどを加えると、風味も食感も豊かになります。
ピリッとした辛さとごま油の香りが食欲をそそり、夏にぴったりの一品です。
【ポイント】 ラー油の量はお好みで調整してください。仕上げに白ごまを振ると、香ばしさがアップします。 - イタリアン風カッペリーニ:
大門素麺を、まるでイタリア料理のカッペリーニのようにアレンジしてみるのはいかがでしょうか。
茹でて冷やした大門素麺に、オリーブオイル、レモン汁、塩、粗挽き黒胡椒でシンプルな味付けをします。
トマトやバジル、モッツァレラチーズなどを添えれば、見た目もおしゃれな一品に。
【ポイント】 オリーブオイルは、エクストラバージンオリーブオイルを使うと風味が豊かになります。 - 韓国風ビビン麺:
コチュジャンをベースにした甘辛いタレでいただくビビン麺風のアレンジです。茹でて冷やした大門素麺に、コチュジャン、醤油、砂糖、酢、ごま油、ニンニクのすりおろしなどを混ぜ合わせたタレを絡めます。
きゅうりやもやしのナムル、キムチ、茹で卵など
をトッピングすれば、食べ応えも満点です。
【ポイント】 タレの辛さはお好みでコチュジャンの量を調整してください。 - ぶっかけ風アレンジ:
冷やした大門素麺に、大根おろしやとろろ芋、オクラなどのネバネバ系の食材をたっぷりとかけ、めんつゆをかけたぶっかけ風アレンジもおすすめです。つるりとした麺と、ネバネバ食材の食感が絶妙にマッチし、暑い日でもさっぱりといただけます。
【ポイント】 刻んだミョウガやネギ、海苔などを加えると、風味と食感のアクセントになります。 - 温製パスタ風:
茹でたて熱々の大門素麺を、パスタソースと絡めていただくのも意外な美味しさです。
トマトソースやクリームソース、ジェノベーゼソースなど、お好みのパスタソースで試してみてください。
細いながらもコシのある大門素麺は、意外と濃厚なソースともよく絡みます。
【ポイント】 ソースが絡みやすいように、茹で上がった麺に少しオリーブオイルを絡めておくと良いでしょう。
柿里商店おすすめ!ちょっと変わった大門素麺の楽しみ方
最後に、私たち柿里商店がおすすめする、少し変わった大門素麺の楽しみ方をご紹介します。 - あんかけ焼き大門素麺:
茹でた大門素麺を水けを切って、ごま油でカリッと焼き、野菜たっぷりのアンをかけていただく。
【ポイント】 麺を焼く際は、焦げ付かないように注意してください。八宝菜風のあんや、甘酢あんなどお好みのあんを合わせてください。 - 大門素麺のサラダ:
茹でて冷やした大門素麺を、サラダの麺として活用します。レタスやトマト、キュウリなどの生野菜と、蒸し鶏やツナ、エビなどのタンパク質源を一緒に盛り付け、お好みのドレッシングでいただきます。
ヘルシーで見た目も華やかな一品です。
【ポイント】 ドレッシングは、和風、中華風、イタリアン風など、どんなものでも合います。
大門素麺、くるくる「丸まげ麺」の秘密
ここで、大門素麺の大きな特徴である、くるくると巻かれた「丸まげ麺」について触れておきましょう。
一般的な素麺はまっすぐな形状をしていますが、大門素麺は独特の丸い形をしています。
この形状には、先人たちの知恵と工夫が詰まっているのです。
良質な素麺を作るためには、冬の冷たい風を利用して乾燥させる工程が重要です。
寒さが厳しい大門地区は、素麺作りには適した土地柄と言えます。
しかし、冬の天気は変わりやすく、作業中に突然雪が降ってくることも少なくありませんでした。
そこで、外で乾燥させている麺に雪が降ってきた場合でも、すぐに屋内に運び込めるようにと考案されたのが、この「丸まげ」と言われています。
麺を丸めておけば、バラバラにならず、まとめて移動させることが容易になります。
厳しい自然環境の中で、美味しい素麺を作り続けるための、先人たちの工夫と努力の結晶。
それが、大門素麺の象徴とも言える「丸まげ麺」なのです。
この丸い形には、美味しさだけでなく、地域の歴史と文化が深く刻まれていると言えるでしょう。
色々な食べ方で大門素麺をもっと楽しもう!
今回は、定番の食べ方から、少しアレンジを加えたもの、そして「丸まげ麺」に込められた物語までご紹介しました。
シンプルなようで奥深い味わいを持つ大門素麺は、工夫次第で無限の可能性を秘めています。
ぜひ、色々な食べ方を試して、あなただけのお気に入りの大門素麺の食べ方を見つけてみてください。
私たち柿里商店のオンラインショップでも、様々な種類の大門素麺を取り扱っておりますので、ぜひそちらもチェックしてみてくださいね。
富山の豊かな風土と、職人の技、そして先人たちの知恵が詰まった大門素麺。
その美味しさを、様々な角度からお楽しみいただければ幸いです。
