夏の風物詩として、日本全国で愛されているそうめん。
しかし、一口にそうめんと言っても、産地や製法によって、見た目や味わいは大きく異なります。
今回は、富山県砺波市で生まれた「大門素麺」を例に挙げ、他のそうめんとの違いを様々な角度から探っていきましょう。
形状の違い
大門素麺と聞いて、まず思い浮かぶのは、その独特な形ではないでしょうか?
ほとんどのそうめんがまっすぐな棒状であるのに対し、大門素麺は「丸まげ」と呼ばれる渦巻き状に束ねられています。
日本髪の丸まげに似ていることからその名がつきました。
搬送時の荷崩れや破損を防ぐために「丸まげ」状になったと言われています。
そうめんの中では他のない形状は、今や大門素麺の最大の象徴になりました。
日本には、他にも面白い素麺があります。
・温麵(宮城県) 長さ9センチの太めの手延べ麺。その名の通り、温かい麺にピッタリ。
・南関そうめん(熊本県) 8の字に折り畳み乾燥させる手延べ麺。
どの産地も歴史が古く、それぞれの土地で受け継がれてきた伝統のある素麺です。
製法の違い
大門素麺は1袋千円以上で売られていることもある高級素麺です。
そうめんは100円ショップにも並んでいるのに、この価格の違いはどこから来るのでしょうか?
そうめんの製法には、大きく分けて「手延べ製法」と「機械製法」があります。
- 手延べ製法: 伝統的な製法で、職人が何度もよりをかけゆっくり延べた麺です。
- 機械製法: 生地をローラーで伸ばし、機械でカットした麺。大量生産なので安価です。
手延べ製法で作られたそうめんは、機械製法のものに比べて、コシが強くのど越しがなめらかです。
生地を、熟練の職人が、よりをかけながら何度も繰り返し延ばし細くし、熟成させることで、独特のコシと食感が生まれます。
味わいの違い
手延べの特徴は、コシが強くなめらかなのど越しが特徴です。
麺が太めの大門素麺は、しっかりとした歯ごたえと食べ応えもあります。そうめんの味わいは、産地や製法によって様々です。
- 島原そうめん: コシが強く、歯切れが良い
- 播州そうめん: 細く繊細な麺線と、上品な味わいが特徴
それぞれの地域で、独自の味わいが育まれています。
文化・歴史の違い
大門素麺は、江戸時代から続く、富山県砺波市の伝統的な食文化です。「丸まげ」という独特な形状は、地域の風土や歴史を反映したものであり、大門素麺は、地域の文化そのものを象徴する存在と言えるでしょう。
このように、そうめんはそれぞれの地域の歴史や文化と深く結びついています。
例えば
・奈良県桜井市: 三輪そうめんの発祥の地として知られ、そうめんにまつわる神 社や史跡があります。
・兵庫県揖保郡: 揖保乃糸の産地として有名で、そうめん祭りが開催されるなど、地域をあげてそうめんをPRしています。
そうめんは、各地で独自の文化を育んできたのです。
まとめ
今回は、大門素麺とその他のそうめんについて、様々な角度から見てきました。
形状、製法、味わい、そして文化・歴史。一見、どれも同じように見えるそうめんですが、産地や製法によって、これほどまでに多様な個性があることに驚かされます。
ぜひ、色んなそうめんを食べ比べて、その違いを味わってみてください。