国産小麦の素麺 復活に向けた挑戦

はじめに

小麦は、パン、麺類、菓子など、私たちの食生活に欠かせない穀物です。
しかし、日本の小麦自給率は非常に低く、大部分を海外から輸入しています。
柿里商店の小麦粉も一部を除いて、アメリカやカナダからの輸入小麦です。
この状況は、食料安全保障の観点から大きな課題となっています。
大門素麺をはじめとする、日本の小麦の国産化に向けた取り組みとその背景についてご紹介します。

日本の小麦事情

日本の小麦生産は、北海道を中心に、冷涼な気候が適した地域で行われています。
しかし、国内生産量は消費量のわずか10%程度であり、残りはアメリカ、カナダ、オーストラリアなどから輸入されています。
この主な理由は、以下の点が挙げられます。

  • 品種: 国内品種の生産性が海外品種に比べて低い。
  • 気候: 日本は降水量が多く、小麦栽培に適した地域が限られる。
  • 価格: 海外産小麦の方が価格が安いため、国内産小麦の競争力が弱い。
  • 政策: 過去には、米の生産を優先する政策が採られており、小麦の生産が抑制されていた。

国産小麦のメリット

国産小麦には、以下のメリットがあります。

  • 食料安全保障: 海外からの輸入に頼らず、安定的に小麦を供給できる。
  • 品質: 国内産小麦は、風味や食感が優れている品種が多く、高品質な製品作りに貢献する。
  • 地域経済の活性化: 小麦の生産は、地域経済の活性化に繋がる。
  • 環境への配慮: 地産地消により、輸送によるCO2排出を削減できる。

国産小麦の課題と今後の展望

国産小麦の普及には、以下の課題があります。

  • 生産コスト: 国産小麦の生産コストは、海外産小麦に比べて高いため、価格競争力が弱い。
  • 消費者の意識: 消費者には、国産小麦に対する理解が不足している。
  • 品種改良: より高品質で高収量な品種の開発が求められる。

これらの課題を解決するため、政府や民間企業は、以下の取り組みを進めています。

  • 品種改良: 新しい品種の開発や、既存品種の改良。
  • 生産技術の向上: 栽培技術の改善や、機械化の推進。
  • 消費者の意識改革: 国産小麦の優位性を周知するための広報活動。
  • 価格の安定化: 生産者への支援策や、流通の効率化。

復活!大門産小麦

現在、国産小麦使用の麺は、北海道産小麦を使っているものが多くありますが、地元で小麦の生産を復活させたところもあります。

富山県砺波市に江戸時代から受け継がれる大門素麺。
かつては育てた小麦を原料に作られていて、小麦を挽くための水車小屋があったと言われています。
その後、大門素麺の生産拡大により、大門産以外の小麦を使うようになったことで、大門の小麦栽培は途絶えてしまいました。
昔のように、大門の小麦で作った大門素麺を復活させようと、2014年大門で小麦の栽培を再開しました。
生産している麺用小麦「さとのそら」は、大門素麺の原料として使われています。
まだまだ100%とはいきませんが、年々生産量が増えています。

国産小麦を使った素麺                         

三輪素麺、揖保乃糸、小豆島そうめん、島原素麺など、素麺の有名な産地では、国産小麦を使った商品作りに取り組んでいます。
輸入小麦に比べ、残留農薬の心配が少ない国産小麦は、健康志向が高まるとともに関心が高まっていると言えます。