【富山グルメ冒険記】ひと味違う“丸まげ”大門素麺の魅力に迫る

富山県で有名な麺といえば「氷見うどん」を思い浮かべる人が多いと思いますが、氷見うどんと同じ流れをくむ素麺があるのをご存じですか?

大門(おおかど)素麺(そうめん)」は、富山県砺波市大門地区で江戸時代から作られている伝統的な手延べ素麺。
最大の特徴は、そのユニークな形状にあります。
一般的な素麺はまっすぐな棒状ですが、大門素麺は「丸まげ」と呼ばれる、渦巻き状に束ねられた形をしています。

今回は、この大門素麺の魅力について、歴史や特徴、美味しい食べ方まで、じっくりと探っていきましょう。

大門素麺の歴史

大門素麺の歴史は、江戸時代に遡ります。
加賀前田藩の御用素麺を作っていた能登の蛸島から氷見を通って大門地区に製麺技術が伝わったと言われています。
当時、大門地区は良質な水と小麦に恵まれており、素麺作りに最適な環境でした。

明治時代には製造技術が進歩し、明治28年に開催された第四回内国勧業博覧会で入賞したのをきっかけに様々な品評会や博覧会に出品し、大門素麺の名前が広く知られるようになりました。

その後も高い評価を受け、昭和初期には最盛期を迎え生産者も約60軒に増えました。
「富山県推奨とやまブランド」にも認定され、今も伝統的な製法を守りながら、職人が丹精込めて大門素麺を作り続けています。

大門素麺の特徴

大門素麺の特徴は、なんといってもその独特な形です。日本髪の丸まげに似ていることから「丸まげ麵」とも呼ばれています。
この形は、手延べした素麺を乾燥する前に渦巻き状に束ね、形を作ったものです。
昔ながらの工程は、そのほとんどが今でも手作業で行われています。
でも、茹でるとまっすぐに戻る麺をなぜこのような形にしたのでしょうか?

それには諸説あります。

  • 大門素麺は、昔は屋外で乾燥させていました。
    雪国富山では急に雪が降ってくることも多く、そのたびに急いで麺を屋内に移動させなくてはなりません。
    棒状の麺は折れやすく運びにくいため、丸まげ状になったという説。

●北前船によって運ばれた大門素麺。
荷崩れを防ぐために丸まげ状になったという説。

他の説もありますが、もともとは運びやすさや利便性から生まれた先人の知恵だったようです。
時代とともに「丸まげ」のこの形こそが、大門素麺の象徴となりました。

また、大門素麺は、その食感も大きな魅力です。
コシが強くなめらかなのど越しは、時間をかけ丁寧に麺を延べる熟練の技によるものです。

大門素麺の美味しい食べ方

大門素麺は、様々な方法で楽しむことができます。
最も一般的なのは、冷たくした麺を冷たいつゆで食べる夏の食べ方です。
シンプルながらも、大門素麺本来の味をしっかりと味わえます。

また、温かいつゆで食べる「にゅうめん」もおすすめです。
大門素麺はコシが強いので、温かくしても伸びにくく、美味しくお召し上がりいただけます。
富山には、ナスと大門素麺を炊き合わせる郷土料理もあるんですよ。

お土産として購入する場合は、富山県内の道の駅や空港、駅のほか、富山県内のスーパーマーケットにも並んでいます。

まとめ

富山県が誇る「大門素麺」。独特の形状と、手延べならではのコシの強いなめらかな食感が魅力です。
富山を訪れた際には、ぜひ大門素麺をお土産に。きっと、あなたも手延べの美味しさに気付いていただけます。